// patterns
フラッグとペナントの違い|継続パターンの見分け方 5 ポイント
by @kabueng55
「フラッグとペナント、どっちがどっちか毎回忘れる」「教科書では似たような図で説明されているけど、実銘柄で見るとどう違うのか分からない」——個人投資家のチャートパターン学習で頻出する疑問です。**結論から言うと、フラッグは「平行な 2 本線で囲まれた平行四辺形 (旗)」、ペナントは「収束する 2 本線で囲まれた三角形 (三角旗)」で、形状の輪郭が決定的に違います。**両者とも継続パターンの代表格ですが、出現条件 / 期間 / ブレイク後の値幅で微妙に挙動が異なります。
事実根拠としては、書籍 エドワーズ&マギー『マーケットのテクニカル分析』(パンローリング) はチャートパターンの古典で、フラッグとペナントは「強いトレンドの直後に出る一時的な調整」として明確に区別されています。書籍 M. シュワッガー『マーケットの魔術師』(各巻・パンローリング) でも、ブレイク待ちの典型パターンとして繰り返し触れられています。書籍 Bulkowski 『Encyclopedia of Chart Patterns』(Wiley) では、フラッグとペナントの過去出現データの統計が章単位で整理されており、両パターンの挙動の差異が定量的に示されています。
実際、Ren-1904 (@Ren1904fx) のような X の声では、ブレイクアウト全般について「抜けたか」より「上位足から見てどこを抜けたか」「抜けた先に抵抗帯がないか」「戻されても撤退位置が明確か」の 3 点で判断する整理が共有されており、フラッグやペナントのブレイクでも同じフレームが応用できます。X の株クラでも、上昇トレンドの押し目として現れるフラッグを、移動平均線への接近 + 出来高減少と組み合わせて見る運用がよく共有されており、ペナントは短期 (1-2 週) で完結する傾向があるのでブレイク待ちの時間枠を短めに設定する運用も併せて紹介されています。
つまり、フラッグとペナントは 「形状の輪郭 + 出現条件 + ブレイク方向の 3 軸で見分ける」 ことで、両者の使い分けが整理できます。この記事では、フラッグとペナントの基本定義、形状の違い 5 ポイント、出現条件 (上昇トレンド中の調整 / 下降トレンド中の戻り)、ブレイク方向の判定基準、出来高との関係、ダマシ回避の 5 チェックを順に解説します。継続パターン全般の見方は カップウィズハンドル 例 と カップウィズハンドル 見つけ方 で、反転パターンとの対比は 逆三尊 ネックライン 引き方 で別途整理しています。
フラッグとペナントの基本定義
フラッグとペナントは 「継続パターン」 に分類されるチャートパターンで、強いトレンドの直後に出る一時的な調整を表します。「継続」という名前のとおり、調整後は元のトレンド方向にブレイクすることが多い構造です。

フラッグ (Flag)
- 形状: 平行な 2 本線で囲まれた平行四辺形 (旗のような形)
- 期間: 1-3 週間 (中期目安)
- 前段: 強い垂直的な上昇 / 下落 (= 旗のポール)
- 出現意味: ブレイク後の値幅は前段のポールの長さと同程度になる傾向
ペナント (Pennant)
- 形状: 収束する 2 本線で囲まれた三角形 (三角旗のような形)
- 期間: 1-2 週間 (短期目安)
- 前段: 強い垂直的な上昇 / 下落 (= 旗のポール)
- 出現意味: ボラティリティが収束した直後にブレイクする傾向
両者の共通点は、前段に「ポール」と呼ばれる強い垂直的な値動きがある ことです。前段のポールが弱いと、フラッグやペナントの形になっても、ブレイク後の値幅が小さく終わる確率が高くなります。
私自身はチャートパターンを形だけで判断せず、形・出来高・地合いの 3 軸 で確認するようにしています。ポールの強さも同じで、値幅の大きさだけでなく「出来高を伴った動きか」を必ず見ます。出来高の裏付けがないポールは、後続のフラッグ / ペナントが形になっても信頼度を一段下げて扱います。
形状の違い 5 ポイント
フラッグとペナントを実銘柄で見分ける 5 ポイントです。1-2 ポイントだけだと判断を誤りやすいので、必ず 5 ポイント全体を見て総合判定します。

| ポイント | フラッグ | ペナント |
|---|---|---|
| 輪郭 | 平行な 2 本線 | 収束する 2 本線 |
| 形 | 平行四辺形 (旗) | 三角形 (三角旗) |
| 期間 | 1-3 週 (中期) | 1-2 週 (短期) |
| 値動きの幅 | 期間中ほぼ一定 | 期間中に減少 (ボラ収束) |
| ブレイク後の値幅 | ポールと同程度 (測定可) | ポールよりやや小さい傾向 |
ポイント 1: 輪郭 最も決定的な違いです。フラッグは上下の 2 本線がほぼ平行、ペナントは上下の 2 本線が時間とともに収束していきます。線の引き方は、フラッグなら高値同士と安値同士を結ぶ、ペナントは高値の切り下がりラインと安値の切り上がりラインを結びます。
ポイント 2: 形 フラッグは平行四辺形で、旗を斜めにしたような形。ペナントは三角形で、競技場の三角旗のような形。「フラッグ = 旗、ペナント = 三角旗」と覚えると忘れにくいです。
ポイント 3: 期間 フラッグは 1-3 週の中期、ペナントは 1-2 週の短期で完結する傾向があります。3 週を超えてもブレイクしない場合は、レンジ相場や別パターン (三角持ち合いの拡大形) の可能性を疑います。
ポイント 4: 期間中の値動き フラッグは期間中ほぼ一定の値幅で推移しますが、ペナントは時間とともに値幅が小さくなります (ボラティリティ収束)。値動きが収束しているのか、平行で推移しているのかが、肉眼での見分けポイントです。
ポイント 5: ブレイク後の値幅 フラッグは「ポールの長さと同程度の値幅」が経験的なターゲット、ペナントは「ポールよりやや小さい値幅」が目安。書籍 Bulkowski 『Encyclopedia of Chart Patterns』(Wiley) の統計データでも、フラッグの方がブレイク後の値幅がやや大きい傾向が報告されています。
なお、似た継続パターンに ウェッジ があります。ウェッジもペナントと同じく 2 本線が収束しますが、ペナントは上の線が切り下がり・下の線が切り上がって互いに向き合うのに対し、ウェッジは 2 本とも同じ方向に傾きながら収束する のが違いです。上昇トレンド中の調整なら、下向きに傾いて収束する「下降ウェッジ」が出やすく、ペナントより形成期間が長くなる傾向があります。また、三角持ち合いとの区別 は前段のポールの有無で判断します。三角持ち合いは方向感のないレンジでも発生しますが、ペナントは必ず強いポールの直後に出ます。同じ三角形でも、前段に垂直に近い値動きがなければペナントとは呼ばず、継続パターンとしての期待値も適用できません。3 週間を超えても収束が続く場合は、ペナントではなくウェッジや三角持ち合いを疑うと、時間軸の見立てを誤りにくくなります。
出現条件 (上昇トレンド中の調整 / 下降トレンド中の戻り)
フラッグとペナントは 強いトレンドの直後 に出る一時的な調整パターンで、出現条件は明確です。
上昇トレンド中のフラッグ・ペナント
- 前段: 出来高を伴う強い上昇 (= ポール)
- パターン形成中: 出来高減少 + 緩やかな下げ (調整)
- ブレイク方向: 元のトレンド方向 = 上方向
下降トレンド中のフラッグ・ペナント
- 前段: 出来高を伴う強い下落 (= ポール)
- パターン形成中: 出来高減少 + 緩やかな上げ (戻り)
- ブレイク方向: 元のトレンド方向 = 下方向
ここで重要なのは、「旗の傾きと前段トレンドの方向が逆になる」 という点です。
- 上昇トレンド中のフラッグは「右下がりの平行四辺形」(調整なので少し下げる)
- 下降トレンド中のフラッグは「右上がりの平行四辺形」(戻りなので少し上げる)
旗が前段トレンドと同じ方向に傾いている場合 (上昇中で右上がり、下降中で右下がり) は、フラッグではなく トレンドの加速段階 か 疑似パターン の可能性が高くなります。継続パターンとしての信頼度は下がります。
ブレイク方向の判定基準
フラッグとペナントのブレイク方向は 「元のトレンド方向」が基本形 ですが、ダマシで逆方向にブレイクする 3-4 割のケースもあります。判定基準を整理すると次のとおりです。

判定基準 1: ブレイク時の出来高 ブレイク時に出来高が直近 5 日平均の 1.5 倍以上に増加していれば、本物のブレイクの信頼度が高くなります。出来高が増えないブレイクは、ダマシ確率が高めです。
判定基準 2: ブレイク時の終値 ブレイクは終値ベースで判定するのが基本です。ザラ場でブレイクしても、終値で旗の中に戻ってきた場合はダマシ扱いします。日足チャートで終値ブレイクを確認するのが、最低限の精度を担保する方法です。
判定基準 3: 上位足の整合性 日足でブレイクしても、週足が逆向きのトレンドならダマシ確率が高くなります。日足 + 週足の両方で同じ方向を向いている場合のみ、ブレイクの信頼度が一段上がります。
判定基準 4: 前段トレンドの強さ 前段のポールが強い (出来高 × 値幅が大きい) ほど、ブレイク方向は元のトレンド方向に偏ります。ポールが弱いと、フラッグ / ペナント形成中に逆方向の力が優勢になり、逆ブレイクの確率が上がります。
これら 4 つの判定基準のうち、3-4 個揃ってからエントリーする のが安全運用です。1-2 個だけでエントリーすると、ダマシで損失を生む確率が高くなります。
出来高との関係 (フラッグ / ペナント共通の特徴)
フラッグとペナントの両方に共通する出来高の特徴があります。
- パターン形成中: 出来高が減少する (調整局面なので売買が細る)
- ブレイク時: 出来高が急増する (1.5 倍以上が目安)
- ブレイク後: 出来高が継続的に高水準を維持する

この出来高パターンが揃っていれば、フラッグ / ペナントとしての信頼度が高くなります。逆に、パターン形成中も出来高が高いままだと、それは継続パターンではなくトレンド反転や別の構造 (持ち合い拡大 等) の可能性があります。
出来高の確認は、チャートの下段に出来高バーを表示して、目視で確認するのが基本です。フラッグ / ペナント形成中の 1-3 週間で、明らかに出来高が下がっているかをチェックします。
形が整っているように見えても、出来高の減少が確認できないものは「フラッグもどき」の可能性があります。私自身はパターンを形・出来高・地合いの 3 軸で確認する運用にしていて、出来高条件を満たさない形は見送り対象にしています。「形 × 出来高」の両方が揃って初めてフラッグ / ペナント という認識を持つと、ダマシに引っかかる場面を事前に減らせます。
ダマシ回避の 5 チェック
フラッグとペナントのブレイクが本物かダマシかを判定する 5 チェックです。MACD ヒストグラム縮小の判定と同じ思想で、複合チェックでダマシを潰します。
X でも、ニニ (@Nini6980) さんは、かつてフラッグやペナントを含む「完璧なチャートパターン」を探すほど形の細部の違和感で迷い、絶好のエントリーを見送り続けた経験から、見るべきは形そのものではなく「高値・安値の切り上がりや買い手と売り手の優位性といった、形の奥にある共通の構造」だと紹介していました。5 チェックも同じ思想で、輪郭の判定 1 点に頼らず、出来高・終値・上位足という構造側の条件で裏を取る設計です。
- チェック 1: 前段ポールは強い (直近 20 日 ATR の 5 倍以上)
- チェック 2: パターン形成中の出来高が明確に減少している
- チェック 3: ブレイク時の出来高が直近 5 日平均の 1.5 倍以上
- チェック 4: ブレイクは終値ベースで確認できる (ザラ場ブレイクのみは保留)
- チェック 5: 上位足 (週足) と整合している (日足 + 週足が同方向)
5 チェックすべて Yes なら本物の確率が高く、3-4 個 Yes なら警戒モード、2 個以下なら様子見、という運用が現実的です。
運用例としては、5 チェック 4 個以上 Yes の場合のみエントリーし、ストップロスは旗の反対側 (上昇フラッグなら旗の下限、下降フラッグなら旗の上限) に置く形が考えられます。リスクリワード比は、ブレイク後のターゲット (ポールと同程度の値幅) ÷ 損切り幅で 1:2 以上を目安にすると、ダマシで切られた分を本物のブレイクで取り返せる設計になります。
ブレイク待ちの判断を記録する - habitre
フラッグとペナントの運用で意外と難しいのは、パターンの判定そのものより 「ブレイクを待てるか」 です。形成中に値動きが細ると「先回りして仕込みたい」という心理が働き、5 チェックが揃う前にエントリーしてダマシを掴む——というのが典型的な失敗パターンです。
この「待てなかった理由」「揃っていなかったチェック項目」を後から振り返れるようにしておくと、同じ失敗の再発を減らせます。私が開発しているトレード記録アプリ habitre は、エントリー時の判断根拠とそのときの心理を 30 秒で記録できる設計にしています。「5 チェックのうちいくつ揃っていたか」「待てずに入ったのか、待って入ったのか」を残しておくだけで、自分のダマシの掴み方のクセが見えてきます。無料で使えます。
まとめ - フラッグとペナントは「形 × 出来高 × トレンド」で見分ける
フラッグとペナントの違いについて、本記事で整理した要点を改めて並べます。
- フラッグ = 平行な 2 本線で囲まれた平行四辺形 (旗)
- ペナント = 収束する 2 本線で囲まれた三角形 (三角旗)
- 共通点: 強いトレンドの直後の一時的な調整 (継続パターン)
- 形状の違い 5 ポイント: 輪郭 / 形 / 期間 / 値動きの幅 / ブレイク後の値幅
- 出現条件: 前段のポール + 期間中の出来高減少 + ブレイク時の出来高急増
- ブレイク判定 4 基準: 出来高 / 終値ブレイク / 上位足整合 / ポール強度
- ダマシ回避 5 チェックで複合判定
フラッグもペナントも単独パターンとしての精度は 60-70% 程度で、テクニカル分析の中では中程度の信頼度に位置付けられます。「形 × 出来高 × 前段トレンドの強さ × 上位足整合」の 4 軸で総合判定 すれば、十分実用に耐えるシグナルとして使えます。
最後に、両パターンの「ハマる時」「ハマらない時」を 1 つだけ書きます。
- ハマる時: 強い上昇トレンドの押し目調整で、移動平均線にタッチしてからブレイクするフラッグ
- ハマらない時: 弱いトレンドの後の形だけフラッグもどき (ポールが弱い)
過去 3 ヶ月の保有銘柄や監視銘柄で、フラッグ / ペナントらしき形を 5 つ探して、5 チェックを当てはめてみてください。実銘柄で複合判定の感覚が掴めると、教科書通りには進まない実際の使い勝手が見えてきます。
カップウィズハンドルとの対比は カップウィズハンドル 例 と カップウィズハンドル 見つけ方、ダブルボトムとの対比は ダブルボトム 見つけ方、反転パターンの代表は 逆三尊 ネックライン 引き方、トレンド系の見方は パーフェクトオーダー 見方 を併せて参照してください。
本記事は個人の見解です。特定銘柄の推奨ではなく、投資判断はご自身でお願いします。記事中の数値は記載時点のもので、最新値と異なる可能性があります。
// faq
よくある質問
Q. フラッグとペナントは結局どう違うのですか?
A. 形状の輪郭が違います。フラッグは平行な 2 本線で囲まれる平行四辺形 (旗) 状、ペナントは収束する 2 本線で囲まれる三角形 (ペナント = 三角旗) 状です。期間も若干違い、フラッグの方がやや長め (1-3 週) で、ペナントは短め (1-2 週) になる傾向があります。
Q. どちらが信頼度が高いですか?
A. 形成期間中のブレイク方向の偏りでは、ペナントの方がやや高いとされます。ただし両方とも継続パターンの代表格で、出現後に元のトレンド方向にブレイクする確率は経験上 6-7 割程度です。単独で判定せず、出来高 / トレンド強度との複合判定が前提です。
Q. フラッグとペナントは「持ち合い」と何が違いますか?
A. 単なる持ち合い (レンジ相場) は方向感がない停滞ですが、フラッグとペナントは「強いトレンドの直後に出現する一時的な調整」という性質があります。前段に明確な上昇 / 下落の動きがあるかが、判定の分かれ目です。
Q. フラッグやペナント候補のチャートでの探し方は?
A. 前段に強い上昇 / 下落 (ポール) がある銘柄から探すのが効率的です。値上がり率上位や出来高急増のスクリーニングでポール候補を絞り、その後の調整局面で平行な 2 本線 (フラッグ) か収束する 2 本線 (ペナント) を引けるかを目視で確認します。
Q. 上昇フラッグと下降フラッグの違いは?
A. 旗の傾きが違います。上昇トレンド中の調整で出るフラッグは旗が右下がり (下向きの平行四辺形)、下降トレンド中の戻りで出るフラッグは旗が右上がり (上向きの平行四辺形) になります。傾きと前段トレンドの方向が逆になるのが基本形です。