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「3日続落したら反発」は本当か|JPX3470銘柄で実測検証
by @kabueng55
「3日続けて下げたら、そろそろ反発する」——逆張りや押し目買いの文脈でよく聞く通説です。下げが続けば狼狽売りが一巡し、買い手が戻ってくる、という理屈です。では実際のデータでは、3日続落した後にどれくらい上昇しているのでしょうか。結論から言うと、3日続落の後に上昇で終わる割合は通常の日よりわずかに高いものの、その差はごく小さく、平均リターンも+0.10%程度でした。しかもこの差の一部は「横ばいで終わる日の少なさ」に由来し、それを除くと差はさらに縮みます。「そろそろ反発」という傾向自体は過去データで観測できますが、実際の売買で手数料を引いた後に利益が残るかどうかは、本検証の範囲外です。
この記事は「相場の通説を、自分の手で計算して確かめる」シリーズの一本です。通説の真偽を断じることが目的ではなく、測り方を公開したうえで、数字がどこまで言えてどこから言えないのか を一緒に確認していきます。他の通説検証は 相場の通説検証 一覧 にまとめています。
通説の背景——なぜ「続落=反発」が信じられてきたか

「下げ続けたら反発する」という発想の根っこには、平均回帰 の考え方があります。株価は行き過ぎれば戻る、という経験則です。3日続けて下げれば、短期的には売られ過ぎで、リバウンドが入りやすい——直感的にはもっともらしく聞こえます。
実際、狼狽売りが一巡したところで短期の買い戻しが入る場面はあります。問題は、それが 「通常の日と比べてどれだけ多いのか」 が語られないまま、印象だけが一人歩きすることです。下げた後に上がった例はいくらでも見つかりますが、それは「下げと関係なく、株価は半分くらいの日で上がる」だけかもしれません。だからこそ、通常日との比較が要ります。
もう一つ、この通説が根強い背景には、人の感覚のクセもあります。下げが続くと「そろそろ上がるはずだ」と感じるのは、コインの裏が続いた後に「次は表が出やすい」と錯覚する心理(ギャンブラーの誤謬)と同じ構造です。実際にはコインに記憶がないように、過去3日下げたことが翌日の確率を直接決めるわけではありません。「そろそろ反発」という感覚が正しいかどうかは、感覚のままにせず、実際の頻度を数えて確かめる しかありません。これがこの検証の出発点です。
正直に言うと、私も以前は「3日続けて下げたから、そろそろ戻すだろう」と考えて逆張りを入れていた時期があります。当たることもあれば、そのまま下げ続けて損切りになることもあり、結局「本当に反発しやすいのか」は分からないままでした。それならいっそ全部数えてみよう——というのが、この検証を始めた動機です。
測り方——再現できるように手順を公開する
検証の透明性のため、手順をそのまま書きます。
- 対象: 2026年時点で上場している現存JPX内国株 3,470銘柄(JPX公式リストの内国株式)
- 期間: 2015年〜2024年の日足(調整後終値)
- 3日続落の定義: 3営業日連続で前日比マイナス(
close[i] < close[i-1] < close[i-2] < close[i-3])。該当 約31.1万件 - 起点: 続落を確認した日の終値。ここから翌1・5・10営業日後の値動きを測る。なお、これは「続落日の終値から、その後どう動いたか」の事後的な値動きの測定であり、引けの判定を見てから引けで買えるわけではないため、実際に約定できる価格とは別物です
- 「上昇で終わった割合」の定義: 起点の終値より高く引けた割合。変化がちょうど0%(横ばい)の日は「上昇ではない」側に数えます
- 比較対象(ベース): 3日続落ではない日 約698万件。同じ銘柄・同じ期間・同じ保有日数で揃える
- 重複の排除: 続落が4日5日と伸びても、同一銘柄で10営業日のクールダウンを置き、同じ局面を二重に数えない
- 統計: 月単位のブロック・ブートストラップ(5,000回)で、続落後とベースの「プラスで終わった割合」の差(Δ)の95%信頼区間を出す
ポイントは、判定に未来の値を使っていない ことです。3日続落は「その日の終値」で確定し、起点もその終値です。先の値動きを覗き見してシグナルを作る、いわゆるルックアヘッドは入れていません。
検出条件はシンプル——だから自分でも確かめられる
この検証の良いところは、条件が単純で誰でも再現できることです。やっていることは、突き詰めれば次の3つだけです。
- その日の終値が前日より安い日を「下落日」とする
- 下落日が3営業日連続したら「3日続落」と判定する
- その日の終値を起点に、1・5・10営業日後に上がっていたかを数える
特別な指標も、有料データも要りません。証券会社のチャートや表計算ソフトでも、同じ条件で過去を遡れば確かめられます。「3日連続で下げているか」を見るだけ なので、判断の余地がほとんどなく、人によって結果がブレにくいのも利点です。逆に言えば、この単純な条件で大きなエッジが出るなら、とっくに多くの人が利用して消えているはずだ——という見方もできます。結果を読むときは、この「シンプルさ」を頭の片隅に置いておくと、数字の受け止め方が変わります。
続落日数が変わるとどうなるか——2日・5日続落の考え方
今回は「3営業日連続で下落」を条件にしていますが、自然な問いとして「2日続落や5日続落では差が変わるのか」があります。今回の検証は3日に絞っているため、他の日数との比較データはここでは持っていません。ただし、考え方として整理しておきます。
もし2日続落でも同程度の傾向が出るなら、「3日であることに特別な意味はない」ということになります。逆に、4日・5日と続落が長くなるほど差が大きくなるなら、「続落が長いほど反発しやすい」という別の傾向がある可能性があります。ただし、続落日数が増えるほど「そもそも下落トレンドが継続している銘柄」の割合も増えるため、単純に「長いほど反発しやすい」とは言い切れません。
もう一つ考えるべき点は、「3日」という区切り自体に根拠があるかどうかです。相場の記憶力を「3日」で区切る理由は直感的なものであって、特定の理論に基づいているわけではありません。4日続落の翌日だけ特別な反発が起きる根拠もなければ、3日のほうが4日より特別な理由もないはずです。この「3日」という数字が、検証を行ったから「意外と小さかった」ことが分かるのであって、確かめる前から根拠があると思い込んでいたことに気づく——それがこの検証から得られた副産物の一つです。
続落でのエントリータイミングの難しさは、多くのトレーダーが実感しています。個人投資家のkimkim (@kimkiminvestor)さんは「下落・続落してる時『まだ買いはしない。しっかり底を見てからだ』その翌日に急反発『やっべ!!!大底逃したか!?』——どんだけカッコつけててもな」と投稿しています。「続落中は待つ」と決めていても、急反発が来ると慌ててしまう——この心理は、データが示す「ごくわずかな差」では説明しきれない部分でもあります。
結果——差はプラス、でもごくわずか

実測結果が下の図です。左が「その後プラスで終わった割合」、右が「通常の日との差(Δ)」と信頼区間です。

数字で並べると次のとおりです。
| 保有 | 3日続落の後 | 通常の日 | 差(Δ) | 95%信頼区間 |
|---|---|---|---|---|
| 翌1日 | 48.9% | 45.4% | +3.5pt | [+2.4, +4.5] |
| 翌5日(主要) | 51.8% | 49.4% | +2.5pt | [+1.0, +3.9] |
| 翌10日 | 52.3% | 50.3% | +2.0pt | [+0.8, +3.2] |
3つの保有期間すべてで、信頼区間はゼロをまたぎませんでした。ブロックの長さを1〜6か月に変えても、この区間は安定しています(ただし安定しているのは「ブロック長を変えても」であって、銘柄の選び方や時代構成への頑健性まで保証するものではありません)。「続落後は上昇で終わる割合がやや高い」という傾向自体は、過去データ上は観測される ということです。
ただし、この差はそのまま受け取れません。差の一部は「横ばい(変化ちょうど0%)で終わる日の比率の違い」に由来しています。 翌1日で見ると、続落後に横ばいで終わる割合は5.7%、通常の日は8.9%。通常の日のほうが横ばいが多いぶん、相対的に「上昇割合」が低く見えます。横ばいの日を除いて上昇割合を測り直すと、差は次のように縮みます。
| 保有 | 差(横ばい込み) | 差(横ばい除外) |
|---|---|---|
| 翌1日 | +3.5pt | +2.0pt |
| 翌5日 | +2.5pt | +2.0pt |
| 翌10日 | +2.0pt | +1.7pt |
横ばいを除いても+1.7〜2.0ポイントの上昇寄りは残りますが、最初の+3.5ポイントという見かけより、実態は小さいということです。
統計を噛み砕く——「差はある」と「使える」は別
ここで立ち止まりたいのは、「差がゼロでない」ことと「売買で使える」ことは別 だという点です。
割合の差は、横ばいを除けば翌1日でも+2.0ポイント程度。そして肝心の 平均リターンは、翌1日で+0.10%、中央値はほぼ0.00% にとどまります。翌5日でも平均+0.40%です。31万件という大量サンプルだからこそ、これだけ小さな差でも統計的には「ゼロではない」と出ます。サンプルが多いと、わずかな差も検出できてしまうのです。
実際の売買では、ここに 手数料・スプレッド・スリッページ が乗ります。さらに今回は起点を「終値」で測っていますが、引けの判定を見てから引けで買うことは実務上できません。翌日の寄り付きで入れば、初日の値動きの一部は取りこぼします。こうした約定価格やコストを引いた後に利益が残るかどうかは、本検証では測っていません。 ここで言えるのは「過去データ上、上昇割合がわずかに高かった」までで、収益性はまた別の検証が要る、ということです。
コストの現実——+0.10%は取引コストを超えるか
今回の検証で出た「翌1日の平均リターン+0.10%」という数字は、実際の売買でどんな意味を持つのでしょうか。具体的なコストを考えてみます。
手数料とスプレッドの影響
今日多くの証券会社が「手数料無料」のプランを提供していますが、それは売買手数料が無料なのであって、売値と買値の差(スプレッド)や、株価の微小な変動による約定のズレがゼロになるわけではありません。特に板が薄い中小型株では、まとまった量を買おうとすれば板を上に押し上げてしまいます。「続落で買いが入りやすい」という傾向があるとすれば、同じ発想で同時に動く参加者が増えるほど、実際の約定価格は本来の水準より高くなりやすいです。
起点が終値という問題
今回の検証では「続落確認日の終値を起点」に翌日以降の値動きを測っています。しかし、続落を確認してから終値で買うことは実際にはできません。引け後に条件を確認して翌日の寄り付きで入ることになります。
「続落後は買い戻しが入りやすい」という動きがあるとすれば、寄り付きそのものが高く始まる可能性があります。始値で買えば、翌1日の終値を起点に計算した+0.10%をすでに一部取りこぼしている状態で入ることになります。「引けで判断→翌朝寄りで実行」のタイムラグは、こうした局面で不利に働くことがあります。
実際に取引してみると分かること
正直に言うと、私自身も以前、「続落後は反発しやすい」というデータを根拠にして、続落後の銘柄に逆張りで入ったことがあります。反発した取引では手数料控除後も少し利益が残りましたが、そのままさらに下落した取引では、「もう少し待てば戻るかもしれない」という気持ちから損切りを先延ばしにしてしまいました。トータルで見れば「統計のせい」ではなく「自分の実行の問題」が大半でしたが、そもそも期待値が+0.10%という小さな数字なら、実行の精度に頼りすぎる戦略はもともと難しかったのだと後から気づきました。
コストを考えると何が残るか
こうした要素を総合すると、翌1日で+0.10%という平均リターンは、コスト控除前の数字です。個人の売買でコストを差し引いた後にプラスが残るかどうかは、本検証の範囲外です。これは「だから使えない」という結論ではなく、「数字だけで判断するには情報が足りない」という意味です。統計的な傾向を「使える根拠」にするためには、コスト後のネットリターンを自分の取引記録から確かめる、という追加の検証が必要です。
この検証で言えないこと(限界)
数字を誠実に扱うため、限界も明記します。
- 生存バイアス: 対象は現存銘柄のみで、上場廃止になった銘柄を含みません。歪みの方向は断定できません
- 局面マッチではない: 比較対象の「通常日」は、ボラティリティや地合いを揃えた群ではなく、単純な条件付きの比較です。Δは「3日続落そのものの効果」とまでは言い切れません
- コスト未考慮: 手数料・スリッページ・ストップ安での約定可能性は計算に入れていません
- 多重比較: 主要評価は事前に翌5日と決めていますが、1日・10日も併記しています
これらがあるため、ここで言えるのは 「過去データ上、3日続落の後はプラスで終わる割合がわずかに高かった」までで、「だから買えば儲かる」ではありません。
結論——通説は「わずかに観測される」、でも差は小さい

まとめると、「3日続落したら反発する」は、傾向としてはわずかに観測されるが、その差は小さい という結果でした。横ばいを除いた上昇割合の差は+2ポイント前後、平均リターンは+0.10%程度。実際の売買で手数料・スリッページを引いた後に利益が残るかどうかは、本検証では確かめていません。少なくとも、大きな逆張りの根拠になるほどの差ではない、というのが言える範囲です。
この数字をどう活かすか——検証後に変わった自分の見方
検証を終えた今、「3日続落した後に買うと反発しやすい」という感覚が間違いとは思っていません。ただ、その根拠の強さを過大評価していた ことは確かです。
「傾向」を単独の根拠にしない
3日続落後に+2ポイント程度の上昇寄りがあったとしても、それはエントリーの根拠の一部にはなりますが、それだけでは売買の根拠として薄いです。より合理的な使い方としては、「3日続落」という条件を他の根拠と組み合わせた絞り込みフィルターとして使うことです。
たとえば「3日続落 + 出来高が底打ちして増えてきた + 直近サポートラインの近辺にある」という複数の条件が重なったときだけ入る——このように、3日続落単体ではなく「よりシグナルが揃ったときの追加材料」として使うなら、データの限界を踏まえた使い方になります。
逆張りの技術的な側面については、BNF.bot (@tousika1)が「逆張りは下げてるなかで拾う方法なので、買ったあと反騰しないような場合は逃げなきゃいけない。買って逃げてまたすぐ買い直すなんて手法は、資金が少ないからできること」と投稿しています。個人投資家は大口と違い、素早く逃げ直しができる——ただしそれは「逆張りが優位」という意味ではなく、「個人のほうが柔軟に動ける」という意味に過ぎません。
数字で確認してから入るという習慣
この検証を通じて最も変わったのは、「感覚で信じていた通説を数字で確かめようとする姿勢」です。「3日続落したから反発するだろう」と感じていたとき、その感覚がデータと整合していたかどうかを確かめたことで、少なくとも「根拠なき確信」ではなくなりました。
通説の強弱を数字で知っておくと、その通説を根拠として「どれだけ重く判断材料にするか」を調整できます。+2ポイントの傾向しかなければ、それだけを根拠に大きく張る理由はありません。逆に、複数の根拠が重なったときのサポート材料として使うなら、「何もないよりは少しマシ」という捉え方ができます。
「感覚で正しいと思っていたことを数字で確かめる」という行為は、思っている以上に自分の取引の根拠を整理してくれます。このシリーズで他の通説も確かめていきますが、結果が予想通りのこともあれば、大きく外れることもあります。そのたびに「これまで何を根拠にしていたか」を問い直せるのが、検証の副産物です。
「そろそろ反発」を感じたとき——自分の記録で確かめる方法
この検証で「3日続落後の上昇割合が通常より高い」という傾向が出た以上、「その傾向は逆張りの根拠になるか?」と考えるのは自然です。ここで問いを一つ変えてみます。
「市場全体で3日続落後に上昇しやすいか」ではなく、「あなたが3日続落で逆張りした取引は、これまで勝てているか」。この問いへの答えは、市場のデータにはありません。あなたの取引記録の中にだけあります。
市場平均と自分の記録は別の情報源
3日続落後の市場平均リターンが+0.10%だとしても、あなたが「3日続落だ」と判断して入った取引の平均リターンが+0.10%であるとは限りません。あなたが入る銘柄は、31万件すべての続落銘柄の平均ではなく、あなたが見ている銘柄・あなたのタイミング・あなたのポジションサイズの集まりだからです。
市場平均は「全員が全銘柄で全タイミングで入った場合の平均」に近い数字です。あなたの取引は、その中の特定の一部です。どの銘柄を選んでいるか、何日目に入っているか、どんな地合いの日に入りやすいか——これらすべてがあなた固有の変数です。
自分の続落後取引を記録から数える
逆張りが「自分には機能しているか」を確かめる最も直接的な方法は、続落後に入った取引を後から数えることです。
- 「続落後の逆張り」で入ったと根拠に書いた取引を抜き出す
- 翌1日・翌5日後の結果(上昇・横ばい・下落)を記録から確認する
- 自分の上昇割合と今回の市場平均(48.9%・51.8%)を比べる
自分の上昇割合が市場平均と大きくずれているなら、「自分の銘柄選択や入るタイミングが、平均とは異なる特性を持っている」ということです。ずれの方向によっては、自分が平均より良い銘柄を選べている可能性も、逆に悪い銘柄を選んでいる可能性もあります。どちらであれ、答えは市場データにではなく、自分の記録にあります。
「なんとなく」をルールに変える
「そろそろ反発しそう」という感覚を、記録によってルールに変えることができます。たとえば「3日続落 + 出来高が底打ちして増えてきた + 直近の強いサポートに到達」という条件がすべて揃ったときだけ逆張りを検討する、というルールを決め、入るたびに根拠として書く。
これを20〜30件繰り返すと、「このルールで入った取引は自分に機能しているか」を後から確かめられます。市場全体の+0.10%ではなく、「あなたのルールで入った取引のリターン」が手に入ります。感覚を記録でルールに変え、ルールを記録で検証する——これが「データで相場を学ぶ」の実践的な意味だと思っています。
平均の+0.10%と、あなたの1回は違う
ここで一番伝えたいのは、「市場全体の平均」と「あなたの1回の取引」はまったく別物 だということです。今回出た+0.10%は、31万件を平均してならした値です。実際の1件1件は、大きく上がったものも、大きく下げたものも含まれていて、そのばらつきの中心がたまたま+0.10%だった、というだけです。
つまり、たとえこの傾向が本物だとしても、それはあなたが続落で買ったときに+0.10%もらえることを意味しません。あなたが選ぶ銘柄・入るタイミング・持ち続けられるかどうかで、結果は平均から大きくずれます。通説を「平均の数字」で信じ込むと、自分の実際の成績と乖離していきます。
だからこそ、こうした検証は「答え」ではなく「目安」として使うのが正しい付き合い方です。市場全体で+0.10%の傾きがあっても、あなた自身の逆張りがプラスになっているかは別の話です。続落で買った取引が、自分にとって本当に機能しているのか——それは平均ではなく、自分の取引記録でしか分かりません。
私自身、こうして数字で確かめるようになってから、「なんとなく反発しそう」という感覚だけで逆張りすることが減りました。代わりに、入るなら「なぜここで逆張りするのか」を一行だけ残して、後で結果と照らすようにしています。地味ですが、感覚の当たり外れを記憶でなく記録で振り返れるようになったのは、大きな変化でした。
翌1日の値動きの分布を見ると、平均が+0.10%でも、個々の取引はその平均を中心に大きく散らばっています。続落後に+10%以上反発したケースもあれば、さらに-10%以上下落したケースもあります。散らばりの中心がたまたま+0.10%だっただけで、あなたの1回の取引がその数字に収まる保証はどこにもありません。「市場平均が有利ならあなたにとっても有利」とは必ずしも言えない——これが平均という統計の性質です。
逆張りや押し目買いを自分の手法にしているなら、入った根拠と結果を残して、後から「自分の続落買いは勝てているか」を確かめてみてください。市場全体の平均ではなく、自分の取引記録から答えを出す——そのための最初のステップが、入るたびに根拠を一行、できれば入る前に残すことです。記録のつけ方は エントリー根拠の記録方法、押し目買いの考え方は 押し目買いの戦略 も併せてどうぞ。
// faq
よくある質問
Q. 3日続落した銘柄は反発しやすいのですか?
A. 実測では、3日続落した翌日に上昇で終わった割合は48.9%で、通常の日の45.4%より3.5ポイント高い結果でした。ただしこの差の一部は横ばい日の比率の違いによるもので、横ばいを除くと差は+2.0ポイント程度に縮みます。平均リターンも翌日で+0.10%程度と小さく、売買コストを引いた後に利益が残るかは本検証では測っていません。
Q. この検証はどうやって測りましたか?
A. 2026年時点で上場している現存JPX内国株3,470銘柄について、2015-2024年の日足で「3営業日連続で前日比マイナス」を約31万件抽出しました。続落を確認した日の終値を起点に、翌1・5・10営業日後の値動きを、3日続落でない日(約700万件)と比較しています。
Q. 統計的に差はあると言えるのですか?
A. 月ブロック・ブートストラップで信頼区間を出すと、翌1・5・10営業日いずれも95%信頼区間がゼロをまたぎませんでした。つまり「この再標本化の条件では、差はゼロとは言いにくい」結果です。ただしこれは過去データ上の観測であり、将来の再現や売買での利益を保証するものではありません。
Q. 差が出ているなら逆張りは有効では?
A. 差はプラスですが小さく、横ばいを除いた上昇割合の差は+2ポイント前後、平均リターンは翌日で+0.10%程度です。実際の売買では手数料・スプレッド・スリッページがかかり、起点を「終値」で測っているぶん翌日の寄り付きで買う場合は値動きの一部も取れません。これらコスト控除後に利益が残るかは本検証では測っておらず、少なくとも大きな逆張りの根拠になるほどの差ではない、というのが言える範囲です。
Q. この検証の限界は何ですか?
A. 現存銘柄のみを対象にしているため、上場廃止になった銘柄が含まれません(生存バイアス)。また比較対象の「通常日」はボラティリティなどを揃えた群ではなく、単純な条件付きの比較です。手数料やストップ安での約定可能性も考慮していません。これらは結論を断定しない理由です。